SNSの急速な普及と一般化によって世の中の流行り廃りを分析してマーケティング戦略に生かし、販売促進やサービス利用者の獲得に生かすといったこれまでの手法に変化が生じました。
ビジネスへのSNS活用に関しても各分野で路線変更や方針転換が模索されていると言われます。
一昔前まではインターネットと言えばパソコンで利用するほうが一般的でしたが、スマートフォンからのSNS閲覧・投稿が急増したことでネット上での交流がさらにスピーディーになりました。

短文を投稿・閲覧して交流するタイプのSNSよりも、写真や動画の投稿・閲覧がメインのSNSが若い世代の間で中心的なコミュニケーションツールになりました。
一つの対象に興味が留まるということがほとんど無くなり、流れに乗って次々にあらわれる「目立つ何か」に気を取られては、すぐにまた次に流れて来た何かに興味が移るといった構図が定着しています。
一昔前に多くの人が気にしていたトレンドといった概念すら現在はあまり重視されなくなり、流行り廃りにとらわれる感覚そのものを見直すべきと考えられるようになりました。

ビジネスの分野では大手企業もSNSに自社アカウントやページを開設してユーザーと交流し、ブランディングやマーケティング戦略への有効活用を図っています。
しかし、SNSによって流行りを吸い上げても自社製品やサービスへのフィードバックを実現した頃には、流行が既に下火になっているケースも少なくなくありません。
自ら流行りを仕掛ける手法も、人々の趣味趣向があまりにも多様化したことで一大ムーブメントを巻き起こすのはほぼ不可能と考えられるようになりました。
新しい物や情報に敏感で素早く取り入れて巧みに生かすことが得意な日本人は、飽きるのも早く古い物を見下すといった面も持っていることが多いです。
近年の流行り廃りサイクルの急激な加速によって特にコンテンツ産業は重大な岐路に立たされ続けていると言われます。

インターネットの普及は出版不況に拍車をかけたと言われ、さらにスマートフォンの普及によって多くの人々が紙媒体にかけていた時間をネット閲覧に捧げるようになったことは明らかです。
現在人気を博しているゲームアプリなども流行り廃りのサイクルが非常に早く、娯楽における人気分野そのものも移り変わるスピードが加速していると考えられています。
今後はスマートスピーカーの普及次第でさらにコミュニケーションツールのあり方が激変することも予想され、ますます先読み不可能な状況です。

流行りものは必ず廃れる

流行り廃りが移り変わるサイクルが加速している現代では、世の中の流行りから人々のニーズを吸い上げて商品やサービスに反映させる頃には早くも廃れていることも珍しくありません。
流行りを先読みしてビジネスに活用する手法は、かつて以上にリスクの高いものとなったと言わざるを得ません。
その点を考えれば世の中の流行に左右されない「定番」を目指すほうが間違いが無いといった見方もされます。
歴史と伝統に育まれてその地位を手にしている物やサービスには新規参入では太刀打ちできない面があります。
新たなものを生み出してビジネスにしたい分野においては、流行り廃りの先読みを活用する手法を捨てきれないもどかしさがあります。

SNS等から世間の流行り廃りを読み取って分析し商品開発やサービスに生かす手法の大敵は、やはり人の心が飽きやすいという点にあります。
どんなに楽しいものでも飽きてしまう原因の一つに「慣れ」があると脳科学の分野で指摘されており、どれほど興味関心をかき立てられ熱中していた対象でもいったん慣れてしまうと気持ちがそれほど集中しなくなってしまいます。
なので別の慣れないものに関心を惹かれるとすぐさまそちらに神経が向くことになります。

コンテンツ産業では定期的にある種の謎を提示して人々の興味関心を惹きつけて、それを明らかにして満足感をもたらすといった図式でサービスを提供している面があります。
新しいサービスを次々に利用してもらうためには人々の「慣れては飽きる」といった繰り返し状態がありがたい面もあります。
しかし、そのサイクルがあまりにも早くなっているために、時間をかけて良いコンテンツを生み出すという体制が構築できなくなっています。

楽しいと思っていたものも慣れてしまうとすぐに飽きることが脳科学の分野でも明確になっていることに加え、流行り廃りを読み解くツールの一つになっているSNSの移り変わりそのものが加速しています。
時代のニーズをビジネスに反映させること自体が難しく、物やサービスを売って利益獲得に結び付けるというビジネスの枠組み自体が揺らいでいることも、先読みを一層不透明にしている原因の一つになっています。
音楽や映像・文字情報などのコンテンツも定額見放題聞き放題サービスが主流になりつつあると言われます。
アプリなどでも無料のものしか利用しない人が増える中で、苦労して流行り廃りを分析してサービスを提供しても無料には敵わないといった事実もあり、ビジネスの流れそのものが読めない時代でもあります。